私は若い頃から、色々な国を旅してきました。
その各国で、様々な文化や風習を見てきましたが、バリ島の 「お正月」 は、世界の中でもとてもユニークで衝撃的です!
バリ島には、バリ・ヒンドゥー教 という宗教が根付いていて、インドネシア国の80%がイスラム教徒なのに対し、バリ島に住む人々は、80%がヒンドゥー教を信仰しています。
そんな、バリヒンドゥー教の「お正月」とは、一体どんな日なのでしょうか?
目次
バリ島のお正月は、全ての欲を捨て、静かに瞑想をして過ごす
バリ島の新年は ニュピ / Nyepi と呼ばれます。
その新年の日にちは、バリ・ヒンドゥー教の「ウク暦」と「サカ暦」によって決められる為、毎年日付けが変わります。 (毎年3月中旬頃)
そしてニュピの1日は、現地の方~観光客まで必ず守らなくてはいけない、衝撃の 禁止事項 があるのです!
バリ島のお正月「ニュピ」でやってはいけない、衝撃の禁止事項
- 灯りや電気を使わないこと
- 労働や活動をしないこと
- 外出をしないこと
- 宴会など賑やかな行為をしないこと
上記の禁止事項は、数時間ではなく 24時間禁止 となります。
ニュピが始まるのは、夜明けの朝6時頃~翌日の朝6時頃まで。
日本では考えられない禁止事項の数々ですが、ニュピの当日は デンパサール空港も閉鎖 され、一部の公共機関 (病院や警察など) を除き、全てが休業となります。
ちなみにニュピの1日は、デンパサール空港が閉鎖となりますので、乗り継ぎでのご利用も出来ません。
バリヒンドゥー教徒以外の人、旅行者の場合でも、お正月をバリ島で過ごす全ての人は、この禁止事項を守らなければなりません。
ニュピでの楽しみは、満天の星空と、透き通った空気
1日中、全ての人が外出せず、灯りも使わないので、昼間でも町中はシーンとしています。
更に夜になると、静まり返った夜空に、天の川や流れ星がくっきりと肉眼で確認出来るほど、満天の星が輝きます。 これは本当に、世界一と行っても過言ではない程、感動の景色です✨
そして、日頃バイクや車の交通量が多いバリ島ですが、ニュピの翌日は空気が驚くほど澄んでいるのです。
ニュピの夜がどのぐらい暗くなるかというと、デンパサール空港から100キロ離れた、ジャワ島にあるバニュワンギ港の灯りが肉眼で見えるほど! (※ ジャワ島はヒンドゥ―教ではないので、ニュピの禁止事項を守る必要はありません)
もしも禁止事項を守らなかったら・・・?
ニュピの日は、昼間も夜も各町会の代表者や警察が町中を見回っています。
もしも禁止事項を守らずに、外出したり部屋の灯りを付けたままにしたり大騒ぎしていた場合は、厳重注意 又は 罰金 などが科されます。
バリ島のニュピ、おすすめの過ごし方や注意点
これまでに、数回ニュピを経験した私がオススメする過ごし方は、やはり家族・友人・恋人と会って、自宅やホテルでゆっくり過ごすことだと思います。
私はバリ島に家族 (恋人も!) が居ないので、毎年友人と集まり、キッチンやプールの付いたホテルに滞在します。
バリヒンドゥー教以外の場所 (ジャワやロンボク島など) に行って、ニュピを忘れて遊ぶのも良いですが、やはりバリ島のニュピは素晴らしい日なので、是非経験して欲しいと思います。
ニュピでは、外出禁止と言われていますが、ホテルや自宅の敷地内であれば、出歩くことが出来ます。 昼間はプールで遊ぶことも可能。
更に、灯りや電気も本来は使用禁止ですが、昼間はテレビを見たりお料理をしても問題ないです。
ただし、日が暮れる頃からは電気を使わず、ロウソクなど最低限の灯りを使って過ごします。
赤ちゃんやお年寄りが居て、どうしても電気などを使いたい場合は、事前に町会へ申し出るか、窓から明かりが漏れないように、目張りなどをする必要があります。
ニュピの翌日の夜明け (大体朝の5~6時) に、この禁止事項は終了となり、通常通りの1日が始まります。
丸1日、バイクや車が走っていないので、ニュピの翌日は驚くほど空気が澄んでいます。
バリヒンドゥー教徒の方々は、静かにニュピを過ごしたあと、清々しい気持ちで新たな1年をスタートさせるのです✨
バリ島のお正月「ニュピ」の禁止事項には、どんな意味があるのか?オゴオゴって?
とてもユニークなニュピの1日ですが、ただ単に、精神を清める為の1日ではありません。 静かに過ごすことには、ちゃんと意味があるのです。
それを説明するには、オゴオゴ がキーワードとなってきますが、簡単に言うと、ニュピは 悪魔祓い の1日なのです。
ニュピ前日の大晦日の夜、バリ島は「オゴオゴ」と呼ばれる、鬼をモチーフに手作りされた銅像を担ぎ、町中を練り歩きます。
オゴオゴの素材は、発砲スチロールや竹などが使われますが、中には、機械仕掛けで胴体が動くものや、人力では担げないほど巨大なオゴオゴもあります。
オゴオゴパレードでは、とにかく大きな音を立てながら練り歩き、家の中でもフライパンを叩いたりして、大きな音を出します。
悪霊はオゴオゴに乗り移ると言われている為、大きな音で悪魔を家や村の中から追い出し、オゴオゴに乗り移させる目的があります。
パレードのあとは、各村でそのオゴオゴは燃やされてしまいます。
盛大にパレードをした後は、静寂のニュピを迎え、ここ (バリ島) には、誰も住んでいませんよ・・・ と思わせ、悪霊が退散するのを待つのです。
とてもドラマチックなお話しですが、バリ島では古くから行われている宗教行事で、新年を清々しく迎える為にも、欠かせない1日なのです。
各エリアで、オゴオゴパレードの規模や豪華さは違いますが、ここ数年は大勢の観光客が訪れ、毎年大賑わいとなります。
ニュピをバリ島で過ごす方は、是非オゴオゴパレードも見学してみてはいかがでしょうか?
なかなか出来ない、貴重な体験になると思います*