バリ島の暮らし・生活・滞在者向け

バリ島のお葬式に参列【人生最後の祝いの儀式】熱気溢れる男達の勇姿

不謹慎と思う人も居るかもしれませんが、私はバリ島のお葬式にいつか参列したいなと思っていました。

ウブド王宮 のお葬式が豪華なことで有名ですが、とても盛大なパレードのように行われます。

街中で偶然見かけた一般的なお葬式も、日本とは全く違った雰囲気だったので、とても興味がありました。

そして先日、念願叶って ( 大変不謹慎で申し訳ございません) お葬式に参列することが出来たので、セレモニーの様子をご紹介したいと思います。

故人は、私の友人のお婆さんで、一度だけお会いしたことがありました。

バリ島のスランガン村に生まれ、スランガン村で亡くなった、素朴で可愛らしいお婆さんです。 享年92歳だったそうです。

寿命の短いインドネシアでは、もの凄く長生きされた方だと思います!

心よりご冥福をお祈りすると共に、お葬式に参列させて頂き、ありがとうございました。

バリ島のお葬式は、バリヒンドゥー教の”輪廻転生”の教え

バリ島には、独自の バリヒンドゥー教 という宗教が根付いていて、その宗教の中で「死」に対する教えは 輪廻転生 (りんねてんしょう) です。

死は、新たな人生の門出としてお祝いするものなのです。

バリヒンドゥー教では、生まれてから死ぬまでの間にいくつもの儀式を行いますが、この火葬式のパレード (お葬式) こそが、人生最大の祝いの儀式 と言われています。

その為、お葬式での涙は禁物なんだそうです。

この写真は、数年前に行われた、ウブド王宮内の王族のお葬式です。 日本のお葬式とは全く違う雰囲気なのがお分かり頂けるかと思います。

バリヒンドゥー教では、一部の村を除いて、火葬 が一般的です。

この火葬儀式は、故人が天に昇り、神様の元に還る為のお祝いと考えられています。

その中でも、王族のようなカーストの高い人が亡くなった場合は、人生最後の祝いの儀式=お葬式 を、特に盛大なセレモニーとして執り行います。

準備に数ヶ月ほどかかる為、遺体は一時的に保管され、お葬式に最適な日にちを選ぶのだそうです。

バリ島式の、賑やかで熱気溢れるお葬式に、初めて参列してきました!

スランガン村でのお葬式の朝、故人の孫にあたる私の友人宅にて、親戚や近所の人々が集まり、僧侶の読経と共に祈りを捧げます。

この日は、正装であるクバヤも、黒や暗い色を着ている女性が多かったです。

黒を着るのは日本にも共通する所がありますが、しんみりしている様子はなく、皆さんワイワイ楽しそうなので、雰囲気は全然違いますね。

参考記事 お気に入りのクバヤをオーダーメイドする方法

お祈りのあとは、いくつかの儀式を執り行い、最後のフィナーレとなります。

フィナーレでは、金色のとても派手なお棺に個人の顔写真が貼られ、村の男達がお棺をグルグル回しながら町中を練り歩きます。

この光景は、熱気に溢れていて、日本のお神輿にちょっと似ています。

金色のド派手なお棺
個人の息子がお棺に乗って先導します

ちなみにこのお棺の中に、故人のご遺体は乗っていません。

約1時間ほど町を練り歩いたあと、スランガン村では遺体を焼かずに土葬をして、このお棺も一緒にお墓に葬られるんだそうです。

バリヒンドゥー教のお葬式に欠かせない、手作りされるお棺

私がスランガン村で参列したお葬式は、庶民的なセレモニーの様子で、使用したお棺は、大体 5,000,000ルピア (約 42,000円) で購入したそうです。

王族のようなカーストの高い人が亡くなった場合は、バデ (Bade) ルンブー (Lembuh) と呼ばれるお棺を使用し、これらは全て手作りされます。

牛型のお棺 (バデ)
五重塔のようなお棺 (ルンブー)

バデやルンブーの土台は竹で出来ており、お神輿のように街を練り歩いた後は、空き地や海でお棺とご遺体も一緒に焼いて、灰にします。

全焼するのを待ち、最後に灰を採って全員で海や川へと向かいます。

ガムラン隊が先導しながら長い行列が海へ向かう姿は、何とも言えない神聖な雰囲気です。

最後のお別れの儀式を行った後、灰は海や川に撒かれます。

 

このように、バリ島のお葬式は、活気溢れる一大イベントとして行います。

お金も時間もかかりますが、多くの村人に見送られながら、盛大なお葬式を行うことは「人生最後の儀式」として、バリ人の誇りなのです。

日本や他国とは、「死」に対する考え方や儀式の様子がかなり違うように感じますが、バリ島では悲しいはずのお葬式でさえも、エネルギッシュでポジティブな印象を受けました。

日本では見ることの出来ない光景ですが、バリ島滞在中にもし見かけた場合には、悲しみではなくお祝いの気持ちで、どうぞ見守って欲しいと思います🙏